初夏に異汗性湿疹が発生しやすくなる理由と漢方による対策法
- みやわき健康薬局 宮脇 崇
- 2 日前
- 読了時間: 6分
こんばんは^^朝から雲が多く「少し肌寒いかな」と感じるような気候となっています。その時々によって体感温度が違ってきますので、寒いと思ったら着る、暑いと思ったら脱ぐなどしてうまく調整した体調を整えてくださいませ。
さて、今回のブログは「初夏に異汗性湿疹が発生する理由と漢方による対策法」という内容になります。
皆さん「異汗性湿疹」をご存じですか?
異汗性湿疹とは、手足の指や手のひら、足の裏に突然小さな水ぶくれが左右対称に多発し、かゆみや痛みをともなう症状のことをいいます。汗疱(かんぽう)とも呼ばれています。
通常、数週間で自然に軽快する場合が多いですが、繰り返し発症することもあります。
この異汗性湿疹が多くなる季節が今です。春や夏の汗のかきやすい時期に入ったばかりの時に多くなり、秋になると症状が減少するのが特徴です。
その原因はいろいろ

✅異汗性湿疹の原因
汗の刺激
皮膚のバリア機能低下+アレルギー体質
高温多湿な環境
ストレスや疲労
胃腸の機能失調
順番に説明しますね。
①汗の刺激
汗がうまく外に出せずに、皮膚の中に溜まってしまうことで水ぶくれとなってしまうことや、その停滞による刺激が症状を作り出します。初夏の今の時期に多くなるのはこの汗による刺激によるものです。
②皮膚のバリア機能低下+アレルギー体質
乾燥肌やアトピー性皮膚炎の素因がある人は、皮膚の保護機能が弱く、汗や湿気による刺激を受けやすい傾向があるので異汗性湿疹も出やすくなります。汗や環境中のダニ・カビなどが発症の原因になることも。
③高温多湿な環境
梅雨の高温多湿な気候は汗の蒸発を妨げ、皮膚に汗が長く留まることで症状を悪化させることがあります。
④ストレスや疲労
自律神経の乱れや疲労は汗の分泌や皮膚の状態に悪影響を及ぼすので、異汗性湿疹などの皮膚疾患の原因になります。
⑤胃腸の機能失調
胃腸の機能失調があると、自律神経が乱れやすくなることや、栄養の吸収障害などが発生しやすくなるので、汗の分泌や皮膚機能に問題を発生させてしまい異汗性湿疹が作り出されやすい状況になります。
以上のように今の時期(4月後半~5月初旬)は、急に気温や湿度が上昇するので汗をかきやすくなることや、気温差や慣れない環境による自律神経の失調+過労+胃腸の機能失調が出やすくなることにより異汗性湿疹という疾病を発症しやすくなります。
次にストレスの影響について掘り下げてご説明します

先ほど、ストレスは自律神経の乱れさせることにより、汗の分泌や皮膚の状態に悪影響を及ぼすので、異汗性湿疹などの皮膚疾患の原因になりますという説明しをしましたが、その他にも様々な悪影響を及ぼします。
✅ストレスによる悪影響
副腎皮質ホルモンの分泌を促す作用により治癒を阻害する
血流を阻害して治癒に問題を発生させる
発汗に問題を発生させる
胃腸の機能を阻害して異汗性湿疹の原因を作り出す
慢性炎症を作り出す原因になる
順番に説明しますね。
①副腎皮質ホルモンの分泌を促す作用により治癒を阻害する
ストレスを感じると副腎より副腎皮質ホルモンが分泌されます。副腎皮質ホルモンには炎症反応を抑制し、免疫系の働きを弱めるため、傷の修復に必要な炎症プロセスや細胞の再生を遅らせてしまうことがあります。(副腎皮質ホルモンは急性期では抗炎症作用を持ちますが、慢性ストレス下では免疫系の調節異常を引き起こし、炎症を増悪させることが分かっています)
②血流を阻害して治癒に問題を発生させる
ストレスは血管を収縮させて傷口への酸素や栄養素の供給を減少させてしまいます。これが細胞の修復やコラーゲン生成を妨げてしまうので、治癒が遅れてしまうことがあります。
③発汗に問題を発生させる
ストレスは発汗を増加させるため、汗疱の誘発や悪化リスクを高めてしまいます。特に精神性発汗が強い場合には手掌や足裏の汗疱に悪影響を与えてしまいます。また、ストレスは掻破行動(かゆみによる引っ掻き)を増加させ、汗疱の水疱を破壊して二次感染や悪化を引き起こすことがあります。
④胃腸の機能を阻害して異汗性湿疹の原因を作り出す
ストレスは胃腸の働きに影響を与えることが知られています。胃腸の不調は、ビタミンB群、亜鉛、必須脂肪酸などの皮膚の健康に必要な栄養素の吸収を妨げてしますので、その結果、皮膚のバリア機能を低下させて汗疱の症状を悪化させます。
また、胃腸の機能失調は自律神経を乱すので、輪をかけて自律神経による影響(①~③、⑤全て)を悪化させてしまいます。
⑤慢性炎症を作り出す原因になる
慢性ストレスは、IL-6、TNF-α、CRPなどの炎症性サイトカインの産生を増加させます。これにより、全身性の炎症が引き起こされ、さまざまな疾患のリスクが高まります(ストレスは交感神経を優位にして炎症を促進させます。交感神経は直接的に免疫細胞を刺激し、炎症性サイトカインの放出を増やすことが分かっています)。
漢方薬による異汗性湿疹対策

異汗性湿疹の漢方治療をご紹介します。
治療法は大きく分けて2つになります。
一つ目は痒みや炎症を抑える対症療法、二つ目は根本原因から治す本治療です。
まず、炎症や水分の停滞が強い場合にはそちらを改善するという方法を用います。こちらを改善しないと、サイトカインの連鎖反応(炎症反応によって違う炎症反応が発生する)や痒みや炎症の憎悪による二次感染(掻いてしまいひどくなることも)などの憎悪原因が発生することがあるので、症状の改善も含めて対症療法を行います。
異汗性湿疹が発生するけど、毎回、2週間程度で治ってしまう場合には、「自然に治るものとして治癒を早める目的で」対症療法にて対策することが主となります。用いる漢方薬は消風散や十味敗毒湯、越婢加朮湯、清上防風湯、インチン五苓散などが用いられます。
一方で症状が重い場合や何度も繰り返す場合、長期に渡って罹患している場合などは原因を改善する方法を選択します。ストレスが原因の場合は柴胡疎肝湯や桂枝加芍薬湯、逍遥散など、胃腸が弱いことが原因の場合は平胃散や六君子湯など、先天的な体質又は更年期、過労、漢方でいう血虚などで皮膚が弱くなってしまっている場合には温経湯や黄耆建中湯、当帰飲子、当帰芍薬散、六味丸、杞菊地黄丸、補中益気湯などを用いるなど「その人の体質によって適応になる漢方薬」を用いるようにします。(対症療法と併用するケースが多いです)
今回は以上になります。
漢方薬は以上のように、すぐに効果を発揮してくれるものと、体質を改善して出にくくしてくれるものとがあります。なので即効性も期待することができます。お悩みの方はぜひご相談くださいませ。
ご相談は直接お越しになる以外にも、お電話、メール、LINEなどで対応しております。ぜひお気軽にご利用くださいませ。 TEL 0299-82-6897(お電話の場合はすぐに対応出来ない場合があります。予めご了承くださいませ) mail miyawaki-kenkou@amber.plala.or.jp LINEはホーム→友だち→公式アカウント→「みやわき健康薬局」で検索してメッセージ下さいませ
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