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みやわき健康薬局  宮脇 崇

加齢による耳鳴りのメカニズムと漢方による改善法

こんばんは^^今日は雨の予報ではなかったですが、午前中から午後にかけて雨が降りましたね。季節の変わり目は今日のように気候が読めませんので、お出かけの際はご注意くださいませ。



さて、本日のブログの内容は「加齢による耳鳴りのメカニズムと漢方による改善法」になります。


耳鳴りは非常に多いご相談内容となります。

若い方から高齢の方まで数多く寄せられます。

多くの場合、難聴を伴うので「非常に辛い…」という訴えをなさります。


今回は高齢者の耳鳴りのメカニズムと漢方による改善法についてご紹介します。




高齢者の耳鳴りは音を拾う有毛細胞の老化と脳の興奮が原因


高齢者の耳鳴りの原因は耳の中にあります。

耳には「音を拾う」という機能がありますが、その音を拾っているのが耳の蝸牛という場所の内側にある「有毛細胞(ゆうもうさいぼう)」という細胞です。この有毛細胞が老化によって壊れてしまうと音をうまく拾うことができなくなります。


そうなると、脳は音の不足を感じて興奮します(感度を高めて音を拾おうとする)。そして、音を補おうとして本来ない音を作り出すという変な行動も引き起こします。それが「耳鳴り」です。


わかりましたか?

要するに老化によって耳が音をうまく拾うことができなくなるので、脳がそれを補おうとして感度をあげて興奮するのですが、その興奮によって本来ない音が作り出されてしまうというのが耳鳴りのメカニズムです。





この耳鳴りに対して適応になるのが補腎薬+脳の興奮改善薬



漢方薬は全身の代謝を活性化させる(老化によって低下した代謝を引き上げる)補腎薬と、脳の過剰な興奮を抑制させる脳の興奮改善薬を用いるのがセオリーです。


補腎薬は六味丸、八味丸、杞菊地黄丸、八仙丸、知柏地黄丸、鹿茸大補湯、耳鳴丸、天王補心丹などの中からその人に合ったものを選びます。


漢方でいう補腎薬は腎を補うという意味ですが、腎臓という臓器を補うという意味ではありません。腎は全身の細胞やホルモンなどの活性や生まれ変わり、増殖をサポートするという役目があります。即ち、腎臓はもちろん、生殖器系や脳、骨、全身の細胞の活性に関わります。この腎を活性化させることで、ダメになった有毛細胞を復活させることに繋がります。


脳の興奮を抑制させる作用を持つ薬を内風改善薬及び安神薬といいます。抑肝散加陳皮半夏、釣藤散、七物降下湯、黄連阿膠湯、半夏白朮天麻湯、ミンハオ、柴胡加竜骨牡蠣湯、桂枝加竜骨牡蛎湯などの中からその人に合ったものを選びます。


内風改善薬及び安神薬は脳の過剰な興奮を抑制するという働きを持ちます。耳が聞こえなくなっていることで脳が興奮するというのもありますが、老化による水分保持力の低下や血液の不足、情報処理能力の低下、自律神経の機能低下なども過剰な興奮の原因になりますので、併せてそちらの調整も行う必要があります。


以上にプラスして「血流の悪化」がある場合には「血流改善薬」を併用する必要もあります。血液の流れをよくすることによって、有毛細胞への栄養供給を良好にさせることができます。栄養供給、補腎薬の供給がしっかり行われることによって治すスピードが早くなります。





以上が治し方になりますが、すぐにはよくならない



薬を飲めばすぐによくなると考えてしまいがちですが、原因は有毛細胞の破壊という「物理的な原因」なのですぐにはよくなりません。


これがストレスによる脳の興奮だけが原因ならばすぐによくなる可能性もありますが、有毛細胞がダメになってしまっているという物理的な要因なので、すぐに細胞が再生するということにはなりません(1週間~1か月ほどで治ることはないという意味です)。


えっ、原因は脳の興奮なんだからそれを緩和させることでよくならないの?という意見もありますが、「音が脳に伝わりにくい」という原因があることから、有毛細胞をある程度復活させないと「脳の興奮が治まりにくい」という関係性があるので、脳だけ改善しようとしても治すことはできません。


なので、少なくとも一か月、長くて3年くらいかかってしまいます。

加齢による耳鳴りの改善はじっくり取り込んでいくという姿勢が大事になります。また、状態によってはいくら飲み続けても納得がいくほどの改善は得られないこともあります。要するに、自然治癒力が低い場合には漢方薬を飲んでも治りが悪いこともあるということです。




今回は以上になります。

高齢者の耳鳴りのメカニズムと漢方薬による治し方でした。初期であれば初期であるほど治りやすいので、ぜひ早めに漢方療法をお試しくださいませ。ご相談お待ちしています。


それではよい週末を^^





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