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みやわき健康薬局  宮脇 崇

慢性疲労に補中益気湯を利用する場合の注意点

更新日:10月12日

こんばんは^^今日は一日中晴れて爽やかな秋らしい一日となりました。暑さというストレスが抜けてくれたので心身がとても楽ですね。



さて、本日は「慢性疲労に補中益気湯を利用する場合の注意点」という内容でブログを書いていこうと思います。


皆さん補中益気湯という漢方薬をご存じですか?

元気がない、だるい、食欲がないという時の代表的な改善薬といっても過言ではありません。


今回はこの補中益気湯を慢性疲労の改善として用いる際の注意点についてご説明します。




補中益気湯はすべての慢性疲労を軽減させるわけではない

どんな漢方薬でもそうですが、〇〇の症状のはこの漢方薬が効く!というのはすべての方に適応になることは絶対にありません。例えば足のつりに芍薬甘草湯。全員に適応になるわけではなく、当然飲んでも効かない方もいらっしゃいます。また、足のつりには効くけど、体がだるくなってしまうという副作用が出てしまい飲めないというケースもあります。


補中益気湯も同様に、すべての慢性疲労を抱えている人に効果を発揮する薬ではありません。


なぜかというと慢性疲労の原因が人それぞれ異なるから(体質も含めてそれぞれ異なる)


慢性疲労の原因っていろいろありますよね。

  • 睡眠時間が足りないから

  • 暑さや寒さなど環境によるもの

  • 働きすぎているから

  • ストレスで緊張があるから

  • 下痢が続いているから

  • 食べ物が偏っているから

  • 飲酒過多だから

  • 病気の影響かも

  • 薬の影響かも

など。


さらに体質も個々異なります。

冷えやすい、暑がり、胃腸が弱い、不整脈が出やすい、緊張しやすい、タフなほう、普段から疲れやすい、月経がある、更年期で悩んでいる、風邪をひきやすい、太っている、痩せているなど。


例えば冷え症で体質的に疲れやすく食欲不振にもなりやすい、そして太れない、仕事が忙しくて慢性疲労状態が続いているという場合は心身の活性が低下している気虚という状態なので補中益気湯が適応になりますが、普段より健康状態に不安はないが、半年前から過度のストレス状態が続いていてイライラや不眠がある、それによって慢性的な疲れが出ているという場合には気鬱という状態なので柴胡疎肝湯が適応になります。




ここで補中益気湯の効能について確認

補中益気湯の効能は補気健脾、升陽挙陥、甘温除熱となっております。


  • 補気健脾→胃腸の働きを向上させることによって全身のエネルギー状態を改善する

  • 升陽挙陥→上半身への血液のめぐりをよくして脳及び心身の活性を高める

  • 甘温除熱→体の弱りによって生じている発熱を心身を元気にすることによって改善する

訳すとこんな感じになります。



適応症は中気下陥、清陽不升、脾不統血、気虚の発熱になります。


  • 中気下陥→胃腸の機能低下により気・血・津液を持ち上げ全身へ送る脾の昇清機能が低下している状態(だるや、めまい、むくみなど)

  • 清陽不升→頭部に栄養や循環が十分でないために生じるめまいやだるさ、息切れ、多汗

  • 脾不統血→脾(胃腸)の機能が低下すると出血傾向を来たし、皮下出血、月経過多な度が生じている状態

  • 気虚の発熱→脾気(胃腸)の弱りによって体内の熱が発散されにくくなることで生じる微熱やだるさ


配合されている生薬は以下の通り

  • 人参→交感神経を刺激して心身を活性化させる、血液や体液を増やすなどの効果がある

  • 黄耆→心臓や血管、皮膚粘膜などを元気にする、上半身への血流を良好にして心身を元気にさせる

  • 白朮→胃腸を元気にする、水分を血管内に吸収させていらない分は尿として排泄させる、皮膚粘膜を強くする

  • 当帰→血流改善、血を増やす、体を温める、生理痛の改善、便通を改善などの効果がある

  • 陳皮→胃腸の働きをスムーズさせて機能を向上させる、胃腸内にて水分の吸収を促すなどの効果がある

  • 升麻→解毒、発汗、鎮静の作用があり、また薬の効果を体の上部に運ぶ、脱肛などを元に戻す効果もある

  • 柴胡→炎症を取り除く、心身の緊張を解く、薬の作用を心身の上方にもっていくなどの働きがある

  • 大棗→胃腸の働きを良好にする、心身を栄養して脳を安定させるなどの効果がある

  • 生姜→胃腸の働きを良好にする、発汗させて悪寒を改善する、心身を活性化させるという効果がある

  • 甘草→諸薬を調和させる、胃腸を元気にする、咳を止めるなどの効果がある



以上をまとめると全身の筋肉や血管の機能をたかめると同時に、胃腸の働きも良好にして心身を元気にする働きがある薬ということが分かります。特に脳や筋肉、肌、血管内皮細胞、胃腸の粘膜などのへの作用が強く、これらを刺激することによって全身の活性を高めていることが伺えます。(よって脳の慢性的な興奮や緊張、自律神経が不安定な方には単独使用はあまり適さないということになります)




以上を参考にすると、補中益気湯は胃腸が弱く元気がない人の慢性疲労に対して適応になることがわかる

だるい、疲れやすいなどの慢性的な疲れにプラスして食欲不振や下痢などが続き、さらに汗が漏れやすく、朝が苦手、正しい姿勢をとり続けるのがつらく感じることが多いなどの心身や筋肉、皮膚の活性低下などを伴う場合に適しているというのが分かります。


さらに元来の体質としては気虚体質や陽虚体質に適しているので、慢性的に疲れやすい、食欲不振になりやすい、寝汗がでやすい、皮膚や肉が柔らかく軟弱、脱肛や胃下垂がある、冷えやすく冬に体調を崩しやすい、風邪をひきやすく治りにくいなどの症状がある方によく合うということになります。


✅具体的にどのような人のどのような症状に合うのか

  • 元来、筋肉が弱く、冷え症の方の肉体疲労、精神疲労

  • 元来、胃腸が弱く疲れやすい方のだるさやめまい、慢性疲労

  • 老化によって体が弱りやすく、冷えやすい方の慢性的な疲労、食欲不振、寝汗

  • 風邪をひきやすく治りにくい、食が細く痩せ型の小児

  • 汗をかいたり、負荷の強い労働すると疲れが出て、微熱や脱肛、ヘルニアを繰り返す

  • いつもボーっとしていて覇気がない、やる気も出ない、食欲不振を伴う方の慢性疲労、微熱、多汗



✅慢性的な疲れの種類

  • 血虚による疲れ→血液及びエネルギー不足

  • 気虚(脾気虚、肺気虚)による疲れ→活性の低下

  • 気血両虚による疲れ→エネルギー+活性の低下

  • 肝鬱による疲れ→ストレスによる過剰な興奮又は活性の低下

  • 陰虚による疲れ(肺、心、脾、肝、腎)→水分保持力の低下

  • 陽虚による疲れ(心、脾、腎)→活性及び温める作用の低下


補中益気湯は血虚、気虚、気血両虚、陽虚による慢性的な疲れに用います(主役は気虚及び気血両虚だけで、その他はわき役として用います)。




今回は以上になります。

漢方薬がその症状に適しているかどうかは以上のようにして判断します。

慢性的な疲労というとつい補中益気湯をチョイスしてしまいますが、原因と体質に合致していないと適応にはなりません(効いてくれません。副作用が出ることもあります)。なので漢方薬を服用する場合には専門家に相談してからにしてください。



よい週末を。





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