こんばんは^^今日は気持ちがよく晴れてくれましたね。やっぱり天候がいいのが一番です。自然の恵みに感謝。
さて、本日は「抑肝散加陳皮半夏を飲むと具合が悪くなるという症状の原因」というお題でブログを書いていこうと思います。
皆さん抑肝散加陳皮半夏という漢方薬をご存じですか?
一言で説明すると「精神を安定させる薬」です。
当店でもかなりよく売れている漢方薬の一つとなっています。
この売れ筋の漢方薬、抑肝散加陳皮半夏を服用すると「余計に具合が悪くなる…」という方がいらっしゃいます。その原因と対策についてご説明します。
抑肝散加陳皮半夏で副作用が出る人の多くは「気血の不足」
抑肝散加陳皮半夏は「気血両虚」がある人の「肝陽化風」に用いる漢方薬と専門書には書かれています。気血両虚とは心身の元気や血液を含むエネルギーが足りないという意味であり、肝陽化風とはエネルギーや水分保持力の低下により、体全体の熱や興奮を抑制できなくなり、脳が過剰に興奮してしまっている状態をいいます。
即ち、脳が過剰に興奮している人に用いる漢方薬で、さらに心身の活性低下や血液(体全体の血液量+血液中の水分や栄養の量などを含む)の不足というバランス悪化がある人に適応となるという薬になります。
これを見て違和感を感じる人が多いのではないでしょうか?
抑肝散加陳皮半夏は気血を補ってくれる漢方薬なんでしょ?
そうしたら副作用が出る人の特徴が気血の不足っておかしくない?(タイトルと薬の説明が合っていないという意味です)という矛盾を感じるはずです。
気血の不足を補う作用のある漢方薬なので、仮に気血の不足があったとしても、それを補ってくれるので副作用は出ないはずでは?と考えちゃいますよね。
しかし、気血の不足があると副作用は出る。それはなぜか?
抑肝散の主役は釣藤鈎という生薬です。中枢神経の鎮静化するという作用や血圧を降下させる作用、てんかん発作を抑制する作用などが認められています。この作用によって脳の興奮を鎮めることにより、ストレスによる神経の昂りによる不快症状を緩和させます。
更に柴胡という精神安定+抗炎症作用のある生薬と茯苓という精神安定、利水作用のある生薬、陳皮という胃腸の緊張を緩和させる生薬が精神の安定作用を補佐しています。
それに対して血を増やす生薬は当帰、センキュウ(センキュウは血を増やすというよりは循環をよくする)の2味、元気を増やす生薬は蒼朮のみ(とはいっても補気作用は弱い。芳香化湿薬という分類)という感じとなっています。
以上のバランスを見ていただけると分かると思います。補気補血の生薬が少ないですし、生薬が持つ「強さ」に関しても釣藤鈎はかなり強い作用を持つ(特に気血が不足している人に対しては作用が強く出る傾向がある)というのがあるので、私の個人的感想としては精神を安定させる作用の方が圧倒的に強く、心身を元気にする補気作用や血を増やす補血作用は弱いという印象を受けます。
では、精神安定作用が強いと、なぜ気血の不足がある人は具合が悪くなるのか?
理由は簡単ですね。脳の興奮が抑制されるので、筋肉の緊張や代謝が低下するからです。要するに寝ているような状態になってしまうということですね。鎮静化させすぎてしまうことにより、心身がリラックスしすぎてしまい、結果、血液の循環やエネルギー代謝が低下してしまい、めまいがする、だるい、やる気が出ない、疲れやすい、不安感や恐怖感などの不快症状が出やすくなります。
なぜ気血が不足している方に不快症状が出やすくなるのかというと、日ごろから心身の活性や代謝を活性化させるエネルギーの量が少ないからです。ただでさえ不足しているのに、それらの活性を低下させる抑肝散加陳皮半夏を服用すれば、不快症状が出やすくなるのは当然です。
でもでも、抑肝散加陳皮半夏は気血も増やすんでしょ?
というご意見もあるでしょう。それは先ほどご説明した通り、気血を増やす生薬が「圧倒的に少ない」ので気血を増やすという効果については「気休め程度」だと思ってください。気に関してはゼロに等しく、胃腸の機能を向上させることで体全体の元気を補っているという感じなので、胃薬が配合され、更に血を少し増やす作用のある精神安定薬という位置づけの薬となります。
とはいえ、この生薬バランスはとても大事です。
あまり気血を増やす作用を強くしてしまうと、今度はメインの効能である「精神安定効果」が薄まってしまいます(補気という効果は脳を興奮させるので)。そして、気血を増やす効果も弱めですがあり、特に胃腸の働きを補うので、長期服用をする前提で考えると気血を増やすことに貢献してる漢方薬といえます。(短期的には気血への効果は薄いが、長期的に見れば効果が出ることが考えられる)
足らないなら補足すればいい
そもそも抑肝散加陳皮半夏が合っているのか、という問題もありますが、合っているとして話を進めますと、気血が少し足りないが故に不快症状が出ている場合には、例えば四物湯や加味帰脾湯などを少し足すなどの対策法があります。
また、抑肝散加陳皮半夏のメインの効能は肝陽化風なのですが、肝陽化風という脳の興奮症状はエネルギーや水分の不足で引き起こされます。一方、抑肝散加陳皮半夏には水分保持力を高める生薬は入っていません(胃腸の働きをよくする生薬は含まれているので、胃腸が弱いが故に水分の吸収率が低い場合には改善に繋がります)。よって、元々バランスがよくない配合となっています。胃腸が弱いが故に陰虚になっている場合には適応になりますが、抑肝散加陳皮半夏にしても釣藤散にしても陰虚の改善に役立つ生薬が入っていないので、胃腸に問題がなく脳の興奮+陰虚を目安に用いる場合には、保水力を高める補陰作用を持つ漢方薬を追加する必要があります(杞菊地黄丸や知柏地黄丸など)。
以上、気血両虚の肝陽化風という症状に用いる薬ですが、実際に用いる際には気血が不足している方に対しては慎重に用いる必要があります。気血を補う作用は飾り程度であり、特に気に関しては脳を興奮させて活性化させる人参や黄耆のような役目ではなく、胃腸を元気にするという意味での気なので、本当に元気がない人(活性が足りない、冷えがある、外に出たくない、疲れやすい、横になりたがるなどがある人)のための薬ではないと覚えておきましょう。
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