こんばんは^^朝から気持ちよく晴れてくれたここ鹿嶋市です。今日から急に寒くなるという予報が出ていますので、心身を冷やさないようにご注意くださいませ。
さて、今回は「補中益気湯がアトピー性皮膚炎に効果を発揮するメカニズム」というお題でブログを書いて行きたいと思います。
皆さん補中益気湯という漢方薬を知っていますか?
漢方薬に明るい方は知っていると思います。
補中益気湯は心身を元気にする作用がある代表的な漢方薬になります。
その補中益気湯がアトピー性皮膚炎の治療として使う場合があるのですが、その改善メカニズムや適当になるケースについてご説明させていただきます。
補中益気湯は体を元気にすることによってアレルギー体質を改善する
補中益気湯は心身を元気にするという作用がある代表的な漢方薬です。
一言でいうと、脳に血液を送り込み、さらに交感神経という心身が元気に活発に動く神経を刺激するという働きがあります。
人間は過労や胃腸の機能低下があると脳の活性が低下するので、脳からの指令で動く全身の動きが悪くなり、その結果、だるい、やる気が出ない、ずっと眠いなどの症状が出やすくなります。また、胃腸の働きが低下すると、栄養の吸収が悪くなることによって全身の栄養状態が悪化したり、胃腸にいつまでも飲食物が残るので副交感神経というリラックスする神経が刺激され続けたりします。それにより心身の活性が低下してだるさや元気がないなどの症状が出ます。
補中益気湯はこれらの症状を改善する効果があります。
脳に熱と栄養を与えて活性化させる働きと直接交感神経を刺激する働き、さらに胃腸の働きを向上させて全身の栄養状態を良好にしたり、胃腸の機能低下によって副交感神経が優位になり続けるのを抑制したりする働きによって不快症状を改善します。
この働きによってなぜアレルギーが改善されるのか?
✅その理由
飲食物の消化が良好になるので未消化のまま吸収されることが減少する
肌や胃腸の粘膜の強化を行うことができる
抑制系T細胞を活性化できる
順番に説明しますね。
①飲食物の消化が良好になるので未消化のまま吸収されることが減少する
補中益気湯には胃腸薬がしっかり入っています。それにより、飲食物の消化吸収が良好になります。消化がよくなると「未消化のまま吸収される」ということがなくなり、未消化のまま吸収されることによるアレルギー反応を抑制させることができます。また、しっかり消化された飲食物が腸に送られることで「腸内環境が良好」になります。腸内環境が良好になると、免疫細胞のバランスを整えることができるのでアレルギー反応の抑制に繋がります。更に胃腸の機能を良好にするということは自律神経を整えることにもつながります。自律神経は免疫バランスに影響を及ぼしていますので、整えることでアレルギー反応を抑制することができます。
特に胃腸の機能が未成熟な小児では、胃腸の機能がよくないことによるアレルギーが多いと考えられますので、補中益気湯が適応になるケースが多いです。
②肌や胃腸の粘膜の強化を行うことができる
補中益気湯には「黄耆(オウギ)」という生薬が含まれています。黄耆には「皮膚や粘膜への血流量を増やすという働きと、細胞自体を強化する働き」があります。その作用により、胃腸壁を強化してリーキーガット(腸粘膜が緩み未消化の栄養素が吸収されてアレルギー反応を引き起こす病態)を予防することや、肌を強くして寒暖差アレルギーや常在菌(白癬菌や黄色ブドウ球菌など)による炎症反応、乾燥による肌荒れなどを予防、改善するという効果を得ることができます。肌が強くなるとバリア機能が向上するのでアレルギー反応や肌荒れしにくくなります。
③抑制系T細胞を活性化できる
こちらは受け売りになりますが、信用のおけるサイトにおいて補中益気湯を服用することで、アレルギーの抑制に有効な抑制系T細胞を活性化できると説明されていました。アレルギーはTh1細胞とTh2細胞の免疫バランスの乱れが原因とされていますが、抑制系T細胞はこのバランスを正してくれるという役割があります。
ちなみに黄連解毒湯などの瀉剤(熱や水分を取り除く薬)には、T細胞の中でも「エフェクターT細胞」(ヘルパーT細胞やキラーT細胞)の活性を抑制する効果があります。
即ち、補中益気湯は免疫の暴走に対してブレーキ役になる細胞を増やすのに対し、黄連解毒湯は暴走している免疫を直接抑えるという働きがあるという意味になります。なので、心身の活性が弱い又は未熟な方には補中益気湯などの補剤、心身の活性が強く内臓の強い方(実証という症状が強い場合にも)には黄連解毒湯などの瀉剤が適当になるということになります。(実際には錯雑しているので白黒分けられないケースが多いですが)
とはいっても合わない場合もあるので注意
先ほど交感神経を優位にするという説明をしました。
交感神経が優位になるということは、熱の発生が盛んになるということを意味します。熱が増えてしまうと、炎症部位に対しては「火に油を注ぐ」ようなものなので、皮膚や粘膜の炎症を悪化させてしまうことがあるということです。
事実、補中益気湯が合っていない方におすすめすると「悪化する」ことがよくあります。我々はプロですが、たまに間違えることがあります。処方して初めてその方の体質を見極めることが多々ありますので、悪化をみて「自分の想像よりも実邪の勢いが高かったのか」と知ります。
いくら抑制系のT細胞を活性化させる作用や皮膚を強くする作用があるからといって、それだけを処方目的にしてはなりません。補中益気湯は心身を元気にするという作用があるので、内臓の機能が低下していることや脳の活性が乏しいという「体質」があり、さらに
皮膚粘膜の炎症が激化している状態ではなく(軽度の時に適応になる)、また清熱解毒薬や痒みを抑える薬を適宜加えて「炎症への対策を施す」ようにして使う必要があります。
分かりやすく説明すると、皮膚や胃腸の弱さによってアレルギーが発生していたとしても、皮膚にはアレルギー性の炎症がある場合には、体を元気にする作用が皮膚や胃腸の状態を改善して治癒に役立つ一方、逆に皮膚の炎症を悪化させてしまう(温める作用があるので)ことがあるために、気を付けて用いる必要があるということです。炎症が弱い場合や治った後に予防で使うことや、清熱解毒薬や痒みを止める薬を一緒に使うことが実際の使われ方になります。とはいえ、人によっては激しい炎症や痒みがあったとしても、それが心身の弱りから来ており、補中益気湯だけですぐによくなるケースもあるので、一概にはいえません。(見極めがとても難しい)
今回は以上になります。
ちょっと難しい内容になりますが、皆さんの一助になればと思います。
よい週末をお過ごしください^^
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